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小説

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3・王家の秘密

 異母弟リオンと出会って約1年の時が過ぎた。
 でも弟は相変わらずちっちゃくて可愛くて、女の子みたいに見える。

 俺は12歳となり、その2ヵ月後の霧雨月にリオンは10歳となった。

 リオンは10歳で仮継承の儀式をし、クロスⅧという名を貰ったようだ。
 しかし俺はその名で呼ぶ気にはなれない。

 リオンは俺の弟なのだ。
 そんな冷たい形式的な官職名で呼ぶ気になどなれなくて当然だろう。


 俺はリオンに会う以外の時間は極力勉強し、真剣に武道を学んだ。

 おかげで『始祖王の再来』と周りから囁かれるようにさえなった。
 あれほど口うるさかったエドワードも俺に全幅の信頼を置いてくれ、監視の目も緩まってくる。

 俺は父から与えられる以外の友人も積極的に作った。
 いざという時、王である父にではなく、俺に力を貸してくれる友を。そして部下が必要なのだ。

 もしもリオンの身に差し迫った危機が訪れた時には速やかに城外に逃がせるような手はずも時間をかけて整えていった。

 だてに小さい頃から十人以上の専属教師によって英才教育されていたわけではない。
 12歳とはいえ、普通の学生が学ぶような範囲は全て学び終えたし、雑学好きな歴史の先生から貴族が逃走するときのそういう知識も手に入れておいた。
 

 父王には何も気づかない振りをして接しながら政策を学び、外交のために国外に行くときは必ずついて行った。

 いざというときが来たら国外も視野に入れてリオンを逃がさなくてはならない。

 俺が絶対の権力を握るのはまだ相当先に違いないから。
 そのためには国外の情勢もよく見ておかねば。

 しかし実際この目で見る国外は噂で聞いていた以上に酷い有様だった。

 西側の隣国ルクラードは比較的マシと言われているが美しいのは城とその周辺だけ。

 奴隷制度もまだ残っているし、殺人などの重大犯罪は比較的少ないものの、盗人などの軽犯罪者は多い。

 わが国は細い路地の裏にいたるまで善良な国民たちが清潔に掃き清めて清潔にしているし、真面目に働くものが多いから食べていけないということはまずない。

 天災などは他国と変わらずあるが、そうなれば国民たちはこぞって寄付を差し出す。

 もちろん国からも被災地には援助はするが、ほとんどの場合民衆からの寄付だけで事足りる。

 だから他国のように危機に備えての莫大な資金を溜め込む必要がない。
 つまりその分だけ他国より税が軽いということだ。
 また、兵役の負担も他国よりずっと軽い。

更新日:2013-09-30 12:27:11

滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)