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約束

 リオンが歯を食いしばって戦ってくれたおかげでとうとう全区域が『ガルーダ』の前に膝を屈した。

 元々短期で決着をつけるつもりだった王は事前準備を抜かりなく行なっており、計画通りに着々と復興作業を進めた。
 事業ももちろん再開したし、並行して国としての正式な名乗りも上げた。

 新ブルボア王朝成立である。

 アルフレッド王は元々ブルボア王国の世継ぎ王子であり、元々持っていた王族としてのコネも最大限に使ってあっという間にいくつかの国と同盟も結んだ。
 これで経済的にも軍事的にも更に安定していくだろう。


 リオンは暗殺隊を抜けさせた。

 以前はどれほど言っても首を縦に振らなかったが、すべてが終わったとなれば話は別らしい。
 あっさりと……それはそれは嬉しそうに了承してくれた。

 もう、リオンが人を殺さねばならない理由はどこにもない。
 辛く苦しい戦いは終わったのだ。

 王もすんなりと認めた。

 弟の桁はずれた戦闘力は王の立場としては捨て難かったろうが、年若いリオンを暗殺隊に入れるのは元々王の本意ではなかった。
 そのせいもあるだろう。
 今までの労をねぎらう言葉をかけ、破格の恩賞を与えた上で任から降ろした。

 そうとも。大人の兵が大勢いるのだから、今後の瑣末な厄介事は大人が対処すればいいのだ。


更新日:2013-10-04 13:06:53

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