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親衛隊候補生

 俺のアルフレッド王の親衛隊候補生としての生活が始まった。

 ……と言ったら華やかそうに聞こえるだろうが、実際はそんなことはない。
 小ホール控え室程度の広さの地下室を練習所として与えられているだけで、室中は薄汚れ、天井にはクモの巣が張っている。

 この場所の掃除は候補生自身が行うそうなのだが、男しかいないせいか行き届いている状態とは程遠い。

 また、今のところ専属の教官すら居ず「自分たちで切磋琢磨するように」との事だった。

 親衛隊候補生は俺を含め、全部で3人居た。
 金髪碧眼のキザな優男ブラディ。こいつは俺より4歳上。
 黒髪長髪のエキゾチックな美少年アッサム。こいつは俺より2歳年上。
 そして13歳の俺。

 しかし新入り歓迎会と称した候補生同士の模擬戦をして、俺はため息をついた。

 弱い。弱すぎる!!!
 こいつら顔だけだ!!!!

 まあ、俺は幼い頃から次期王位継承者として一流の剣士や武術家に指導してもらっていたので、腕には相当の自信がある。

 一回り上までなら十才を過ぎては負け無しだし、負けた記憶があるのも正直言って2人の師匠と教育係のエドワード、それに父上ぐらいだ。

 もっともここしばらくはリオンの戦いを見ているうちに、
『あれ? 俺って意外とフツー? というか、弱い?』なんて思い始めていたが、こいつら程度なら2人まとめてでも軽く勝てる。

 リオンは俺が親衛隊に入ったら寂しくなるとずっとしょんぼりしていたが、今は珍しくはしゃいでアリシアと共に俺の応援をしてくれている。

 ああ、可愛いなぁ……。
 こうやって見ると本当に無邪気で年相応で、まじ天使。
 兄の欲目を引いたとしても、めちゃくちゃ可愛い。

 でも、下種な他の候補生たちは弟の可愛い応援がカンに触ったようだ。

「おい、お嬢ちゃん。お前、生意気なんだよ」

 一回戦で既に俺に負けて座っていたブラディが立ち上がり、リオンの襟首を掴む。

更新日:2013-10-01 10:09:06

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