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小説

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1.おとぎの国に住む王子

挿絵 360*418

「……であるからして……聞いておられますかな王子?」

「いてっ!」

 俺の帝王学教育係のエドワードはいつも容赦がない。
並み居る妃候補の中から選ばれた母上の『兄』だけあって見てくれは大変麗しいが、俺がちょっとサボっただけで鬼と化す。

 今日もいい陽気だなぁ……なんて少し余所見をしただけで辞書の角でゴツンとやられた。

「あ~あ。母上はあんなにお優しいのにエドワードの方はなぁ。普通『カド』でなんて叩くか?」

「愛の鞭です。ありがたくお受けください」

 奴は当然! とばかりに胸を張ってにっこりと笑った。

 自身も厳しい教育を受けてきたと言うこの若い叔父は、城の他の家臣に比べてもうんと厳しい。
 いたいけな11歳の王子の頭を平然と辞書のカドで叩くぐらいだから、他も推して量るべし。

 しかしそこが父上に気に入られて教育係り筆頭に抜擢された。
 俺にとっては大変な災難である。


 エドワードは帰化を済ませているが母上同様、他国出身者である。

 身分は辺境の貧国リードランドの王子の一人だったのだが、

「ウチは皇太子に三つ子が出来たのでお前はもういらん。皇族が一人増えるだけでも国の経費が増えるし、お前も大国エルシオンで養ってもらえ」

 と、王である父君に言われ、


『大国の王子に望まれた輝かしい妹のオ・マ・ケ』


 ……として13年前に故国を追い出された。



 普通なら激しく凹みそうなところだがエドワードは、

「この国のほうが食事がおいしいからむしろ良かった!」

 とかとんでもないことを言ってとても幸せそうだ。

 実際貧国の王子より大国の家臣のほうが良い暮らしが出来るようで、エドワードは教育係としてだけでなく父上の優秀な臣下として楽しく仕えている。


 そんなわけでエドワードは俺が生まれる前からこの国にいるのだった。



<お知らせ>

このPの挿絵は『またたき絵』となっています。
じっと見ているとちょっとだけ動きます。

このP以外でもいくつかの挿絵はまたたきます。

更新日:2013-09-30 10:32:36

滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)