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第十三話 プロポーズ

「純斗聞いてっ、あのねっ。」
今日は朝からお嬢様の声が鳴り響く。
昨日は夜遅くまでパーティーを行っていたから、いつもよりとても遅い時間にお眠りになったのに、今日はやけに早起きだ。
僕はパーティーを抜けていた間に色々なことがあったのだろう。
少し頬を赤らめている。
こんなお嬢様は初めて見た。
何かあったのだろうか。
「聞いてあげてよ、純斗くんっ。凄かったんだからっ。」
「あ、円華、駄目っ。私が自分で言うのっ!」
2人で何やら盛り上がっている。
僕には話が見えない。
「昨日、何があったのですか?」
「あのね・・・。」
お嬢様は昨日の出来事を話し始めた。


*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。


「渢子様、お誕生日おめでとうございます!」
パンっ
私の誕生日を祝ってくれてる人たちが一斉にクラッカーを鳴らした。
その今まで聞いたことのないような大きな音に耳を塞ぎたくなったけど、そこは我慢した。
小さい頃母様が言ってたことを思い出した。
"人が好意を持って行ったことを卑下してはいけませんよ。"
あの時の私にはその言葉の意味がわからなかったけど、今なら分かる気がする。
きっと、こういうことなのだろう。
「今日は私の誕生日を祝っていただき嬉しく思います。今宵は一緒に楽しみましょう。」
私はさっきの音でジンジンしている耳を押さえたいのを我慢して、そう言ってニコリと笑った。
凄く緊張した。
人前で話すのは嫌いだ。
今のセリフも宏美が考えてくれたもの。
私は宏美の姿を探す。
宏美は背が高いからちょっと探せばすぐ見つかる・・・。

更新日:2013-09-28 14:28:36

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