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辻斬り武者と保安官

それから、10日後、マルベルから漸くレベル50に成ったと連絡が入った。
僕の方はあれからちょっと真面目にやってレベル70に成っている。

「あ、待ちました?」
「ううん、僕もさっき来た所」

前線と最初の町から中央地点の場所にあるカフェでマルベルと待ち合わせをしていた。

「あれから、何かありましたか?」
「うん、僕はレベルが70に成ったよ」
「うぅ‥‥
やっと追い付いたと思ったら又はなされました…」

マルベルがガックリ項垂れながらコーヒーを頼む。
時期は既に秋を越え、冬に入ろうとしている。

「ははは、まぁ、しょうがないですよ」
「あ、そう言えば、面白い噂を聞きました」

マルベルがガバリと起き上がり、僕を見る。

「うん?
どう言う噂?」
「其れがですね、辻斬り武者って人達が今有名なんですよ」

何じゃそりゃ‥‥

「辻斬りって、あの、行き成り出て来てズバッて切り殺す?」
「ちょっと違います。
行き成り、出て来て、タイマン挑んで来るらしいです。
で、受けると超強いんですよ。
日本刀持ってて一撃が凄まじいんです」

マルベルがトリャーと切る真似をした。

「一撃が4000越えるんですよ?
しかも、人によっては槍持ってるらしいです。
で、一番強い人が真っ黒の鎧に兜はしていない代わりに、何かボロボロのフードを被って居て、槍と刀と弓を持ってるみたいです。
レベルは100らしくて、今までに挑んで返り討ちにされたプレイヤーが既に30人を超えてるとかで……」

ちなみに、タイマンを挑んで相手をPKしても、PKマークは付かない。
何故なら、同意の上での勝負だからだ。
しかも、タイマンは一騎打ちの決闘とは違い、死ぬまでのサドンデスで無制限なのだ。
一騎打ちでの決闘では色々と設定が決められ、HPが危険域に入った時点で終了とか、コンボ決めた時点終了とかいろいろあるが、そう言う物は一切ない。
どっちかが死ぬまで、又はギブアップし、それを相手が受理した場合のみである。

「うわぁ‥‥
暫く、身を隠した方が良いね。
絶対、僕に討伐依頼が来るよ」
「おぉ!
此処に居られたか運営のお気に入り殿!」

噂をすれば何とかだ。
赤い騎士に黒い騎士がやって来た。
レベルは80である。

「やぁ、秋津島の」
「マキシム様からの依頼が有る。
直ぐに返事をして欲しい」

赤い騎士は僕にファイルを寄越す。
内容は例によって辻斬りを討伐してくれと言う物だ。

「はいはい。
お金は前金4割後金6割でね、はいはい」

『承諾』の部分を押す。

「では」

赤い騎士達はそのまま立ち去って行く。

更新日:2012-01-02 04:55:12

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