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<ナレーター>
ムー大陸の戦乱から5年後……新たな戦乱の火種は、大陸から遥か遠くにある地で発生していた。
小規模ながら豪華な屋敷にはそれを包囲するに余りある大部隊が展開し、それに対する防衛部隊は彼等の攻勢の前に成す術もなく薙ぎ倒されていった。

攻撃部隊が屋敷への侵入を果たした頃、1人の女剣士……『真珠のパール』が扉の開いている一室に走り込みながら叫んだ。
パ「ガーネット殿、前衛部隊が突破されました!」
ガ「やはり我等が出るしかあるまいか……。アメジストだけ残り、後の者は行ってたもれ。」
その命を受け、パールを含めた6人が退出する。
ガ「アメジストよ、そなたに最重要任務を与える。」
アメ「私に……ですか!?」
ガ「そなたでなければ出来ぬ事だ。……やってくれるな?」
アメ「私に出来る事でしたら……。」
その内容を聞いた『紫水晶のアメジスト』は驚きながら尋ねた。
アメ「ガーネットさん……それ、本当ですか?」
ガ「妄もこの策をトパーズから聞いた時は腸が煮えくり返ったが、背に腹は代えられぬ。なんとかメシアの助力を取り付けてたもれ!」
アメ「分かりました。でも私の為にみんなが……」
ガ「案ずるでない。いざとなればフリーズモードを使うまでよ。」
その後、更にいくつかの話をしてからアメジストは意を決した。
アメ「では行って参ります。どうか御無事で……。」
ガ「お主もな。」
アメジストは扉からではなく、地下に続く隠し通路から退出していく。
ガ(アメジストよ……そなたが宝石に選ばれし意味、その存在価値を証明するのじゃ!)

一方、当のムー大陸はかつての安寧を取り戻し、3国間の関係も良好であった。
各国の発展も目覚しく、特にプリナに至っては山賊撲滅政策により史上空前の成長を遂げていた。
神官達の予言にもこれといった予兆は無く、正に平穏そのものであった。
そんな中、ただ1人言い知れぬ不安を抱いている者が居た。
『チャート=シナプス』……大陸屈指の占い師として数々の凶事を予知し、こんにちの発展に多大なる貢献を果たして来た。
彼女はヒロの結界の長期維持を実現し、かねてからの約束通りロベンゼン等と共に、4人でフラーレン捜索の旅を続けていた。
そんな彼女が、半月程前から微弱ではあるものの不吉な予兆を感じ取っていた。
当初は然程気には留めていなかったが、半月の間に毎日感じる感覚に、彼女は近々ただならぬ事が起きると直感した。

そこでチャートは姪でもある『ロベンゼン=シナプス』に相談を持ちかけた。
ロ「過去に同様の経験をなさった事はございますか?」
チ「何度かありますが、こんな微弱な反応は初めてです。」
更に、その場に居た『グルコース=シナプス』が呟く。
グ「母上が生きていれば何か聞けたかもしれんが……。」
ロ「まずはアミロプラストさんに御相談なさった方がよろしいのではないでしょうか?」
チ「そうですね……。」
その時、東方の上空で何かが激突したような衝撃が走った。
その方向を仰ぎ見ながら、彼女の娘『パラジクロ=シナプス』が告げた。
パ「お母さん……また、あの人達が来たみたい。」
チ「あの人達って……まさか!?」
ロ「チャートさんの感じられていた反応も、もしかしたら……。」
グ「行ってみる価値はあるが、お前はどうする?」
ロ「わたくしも参ります、少なくとも本当に厄災の方々なのかを突き止めるまでは。」

所変わってプリナ領スーラ。町の警備隊員達が整列していた。
隊員「トリプシンさん、準備整いました。」
トリ「では、これより作戦行動を開始します。」

更新日:2011-12-02 22:21:37

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