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昔のお話

むかし…むかし…人がまだ龍と暮らしていた時代…

龍の存在は人々には無くてはならないものだった。

龍が森を、海を、生物を創り、世界を創ったと呼ばれていた。

そんな龍に、人々は堕落していった…

ある日、村々で戦争が起こった。
人々は、奪い合い、殺し合った。

そして、一人の人がこう言った…
「……あの村を、失くしてください。」

このことに激怒した龍は、その村々を焼き払った…


爺「と、いうお話じゃ。怖かったかな?」
少年「ううん!全然怖くなかった!」
爺「ほう…お前くらいの村の子供なら泣いて喚きよるのに…」
少年「ねぇ…村の子供ってそんなに泣き虫なの?」
爺「それは、村に行ってのお楽しみじゃ。」

森の中にぽつん、と一軒だけ家がある。
その家には1人の子供とお爺さんが暮らしていた。

少年「本当に明日、村に連れて行ってくれるの?」
爺「心配性じゃなぁ、ただし今日は早く寝ること!分かったな?」
少年「は~~い」

空は紺色。すやすやと寝息をたてて寝る少年を見て、お爺さんは笑みを浮かべる。

爺「こやつも、もう7歳か…時というものは、はやいものじゃな。」

時は7年前…
真昼だというのに、空は暗く、大雨が降っていた。
爺「まいったな……何だ、あれは?」

「おぎゃぁぁぁ!おぎゃぁぁぁ!」

大きな木の下に、産声を上げる赤ん坊が一人。
雨に当たり、かなり衰弱している。

爺「こんなところに赤ちゃんが…酷い奴もいたものじゃな。」

肌は冷たい。

爺「とりあえず、村へ連れていくか…。」

しかし、村までは遠い。たとえこのお爺さんが村の大戦士だとしても、遠い距離であった。
さらには、あざ笑うかのように嵐が吹き荒れる。

爺「これは、やべぇな…どこだかわからね…」

赤ん坊を庇いながら嵐の中を進むのは、困難の極みであった。

爺「わしもこれまでかな…」

肩に鈍い痛みがはしる、どうやら肩から倒れたようだ。
もう既に、お爺さんに抵抗する力は無くなっていた。

目の前が、暗くなり。まぶたが重い。

その時…紅い光が爺を包んだ。

更新日:2011-09-02 18:18:30

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