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■第一章 闇の胎動

挿絵 512*384

その昔、三璃紗の地を壊滅の危機に陥れし闇の力あり
この世の全ての闇を集約せしその力“暗黒玉璽”なり
その力を手に入れし者
全ての地を闇に覆い、三璃紗を滅びの道へと誘う
されど、滅びを阻止せんとする者達あり
その者達、闇を克服せし光の力を持つ者なり
その力“天の刃”となり
黄竜の地に“暗黒玉璽”を封印す
―三璃紗神話『G記』より―

-1-

 機駕国より北方に位置する三璃紗の中心地、司隷。
この地の山深くに古来より人知れず存在する祠―。
この場所こそ三璃紗神話を書き記した伝承の書“G記”の一説に登場する暗黒玉璽を封印した”黄竜の地”であった。
 かつて天の刃の力をもって封印したはずであったが、長い年月が経過する中、多くの戦により光と闇のバランスは徐々に崩れ、その封印は限りなく弱まっていた。
封じられていたはずの祠への洞窟はその口を開き、奥からは禍々しき瘴気が漏れ出している。
司馬懿はその漏れ出した瘴気を感じ取り軍師団の一人をこの地に差し向けた。

 その者の名は郭嘉ヴァサーゴ。
機駕国軍師団の一員であり、司馬懿の一番弟子である。
司馬懿に次ぐ才能の持ち主で、巧みに智謀を張り巡らせ相手を罠にはめる。その氷のような冷徹で洗練された才能から、彼は“氷牙の智謀”と称されていた。

 郭嘉は辿り着いたこの場所で確信する。
「この濃い瘴気・・・。間違いない、ここに僕達が探し求めた力が!」
 郭嘉は瘴気の満ちた洞窟へとその足を踏み出す。
「これは・・・なんとも心地よい!」
 郭嘉の高笑いが洞窟中に反響する。
力なき者なら一歩踏み出すだけでも己を保てないほどの瘴気に、郭嘉はむしろ嬉々とする。
体中を心地よく巡る闇の気配。郭嘉はこれまでに感じたことのない快感に酔いしれた。
郭嘉は込み上げる高揚感を感じつつ更に奥へと歩みを進める。

 奥へと進むと、天井の高い空洞の先に数え切れない程の分かれ道が不気味に続いていた。
郭嘉は洞窟に充満する瘴気の流れを頼りに迷いなく奥へ奥へと進む。

 そんな郭嘉に気付かれぬよう一定の距離を保ち郭嘉の後を追う者が居た。

 彼の名は姜維ザク。
彼は曹操の腹心の一人であり、司馬懿率いる軍師団の護衛役だ。
しかし今回は護衛が任務ではなく、曹操直々の命により彼は行動していた。

「くっ・・・なんて濃い瘴気なんだ・・・。早く真意を掴まねば・・・」
 姜維は濃い瘴気にその身を侵されぬよう気を強く保ちつつ郭嘉の尾行を続けた。

更新日:2011-08-21 18:10:08