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戦いの、終わらせ方
「ッォォォオオオオオオッ!!」
人ならざる咆哮が迫る。ローブの男はエルミルの背に乗って空中へ退避するが、ゼンカは背中から巨大なコウモリの翼を顕現して空へ舞い上がる。
地上に残されたもう一人の帝国軍剣士は、同じく人ならざる少女と対峙していた。
「ヒュウ……。なァ嬢ちゃん、そのおっかない“爪”をしまってくれねぇかなァ。ほら、言うだろ? 能ある鷹は何とやらってさ。アンタ賢そうだから、爪を出してるのは似合わないぜ?」
「生憎、私は“梟”なの。鷹と一緒にしないで。」
「そうかい。ったく、難儀だねェ。少女相手に振るう剣は持ってねぇってのに。」
剣士は額に汗を浮かべていた。それは大規模な火災の中心にあってその温度ゆえのものだったかも知れないし、目の前の少女に対し、想像以上に恐怖を感じていたからかも知れない。
いずれにしても、彼にとってこの場に長居する事は、あまりにも危険であった。
ローブの男はエルミルに乗って脱出できるだろうが、なにぶん自分は普通の剣士なのだ。そこらの人間とは鍛え方が違うから多少の炎なら突っ切って脱出できるとしても、ここまで火の手が巨大化してしまっては、この場所で炎が消えるまで我慢している方がマシに思えてくる。無論、そんな事をしては恐らく、普通に焼死することになるが。
「……って事はよ。俺がお前を組み伏せないといけねぇって事じゃねぇか。」
あの悪魔のような人間の能力は非常に高いが、彼の算段では、ローブの男の方がまだ数倍は強い見込みであった。即ち上空戦は任せておいて何の問題も無く、この炎の中で自分が助かるためには、上空での戦いが終わる前にあの少女を生け捕りにしなければならないと言う事だ。
上空戦が終わってローブの男がここへ戻ってきた時に、捕えた少女と一緒に自分もエルミルの背中に乗せてもらえば万事解決。彼は漸くそう結論付けて、大剣の柄に手を掛けた。
人ならざる咆哮が迫る。ローブの男はエルミルの背に乗って空中へ退避するが、ゼンカは背中から巨大なコウモリの翼を顕現して空へ舞い上がる。
地上に残されたもう一人の帝国軍剣士は、同じく人ならざる少女と対峙していた。
「ヒュウ……。なァ嬢ちゃん、そのおっかない“爪”をしまってくれねぇかなァ。ほら、言うだろ? 能ある鷹は何とやらってさ。アンタ賢そうだから、爪を出してるのは似合わないぜ?」
「生憎、私は“梟”なの。鷹と一緒にしないで。」
「そうかい。ったく、難儀だねェ。少女相手に振るう剣は持ってねぇってのに。」
剣士は額に汗を浮かべていた。それは大規模な火災の中心にあってその温度ゆえのものだったかも知れないし、目の前の少女に対し、想像以上に恐怖を感じていたからかも知れない。
いずれにしても、彼にとってこの場に長居する事は、あまりにも危険であった。
ローブの男はエルミルに乗って脱出できるだろうが、なにぶん自分は普通の剣士なのだ。そこらの人間とは鍛え方が違うから多少の炎なら突っ切って脱出できるとしても、ここまで火の手が巨大化してしまっては、この場所で炎が消えるまで我慢している方がマシに思えてくる。無論、そんな事をしては恐らく、普通に焼死することになるが。
「……って事はよ。俺がお前を組み伏せないといけねぇって事じゃねぇか。」
あの悪魔のような人間の能力は非常に高いが、彼の算段では、ローブの男の方がまだ数倍は強い見込みであった。即ち上空戦は任せておいて何の問題も無く、この炎の中で自分が助かるためには、上空での戦いが終わる前にあの少女を生け捕りにしなければならないと言う事だ。
上空戦が終わってローブの男がここへ戻ってきた時に、捕えた少女と一緒に自分もエルミルの背中に乗せてもらえば万事解決。彼は漸くそう結論付けて、大剣の柄に手を掛けた。
更新日:2009-06-07 16:56:10